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お昼ごはんは、ほとんど喉を通らなかった。
以前、美園さんが“人前でものを食べるの、あんまり好きじゃないの”と肩を竦めて笑っていたのを思い出した。
そのときは、美園さんの言っていることの意味がよく判らなかった。だけど。
サンドイッチを手に取り、口を開けようとしたあたしは、咄嗟にその動きを止めてしまった。
──坂田さんもいるのに大きく口を開ける、という行為がすごく恥ずかしく感じた。
収となら、何ともないと思う。
だって、こいつとは何度も一緒にご飯を食べたことがある。
何も考えてなかったし、何も気にすることはなかった。
いい食いっぷりだな、と褒められたこともある。そう、それは他意がない限りは褒め言葉のはずなんだけど。
……もし坂田さんにそんなことを言われたら、あたしはたぶんその場で泣き出すか逃げ出すだろうな、と想像できてしまった。
彼の言葉に、含みなんてかけらもなくても、だ。
どうしよう、お腹はそれなりに減ってるのに……。
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