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仕方なく、あたしは俯きながらそもそとサンドイッチを口に入れた。
そうすれば、長いストレートの髪で横顔が少し、ごまかせるんじゃないかと思って。
……そうしたら、お腹いっぱいにはならなかった。
ごまかすのにたくさん飲んだ紅茶のせいで、お腹の中がタプタプしている。
自分でも自意識過剰だったと思う。
意識するにも、程がある。坂田さんが、あたしが食べてるところをわざわざ凝視しているはずがないのに。
゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚
わけの判らない羞恥、という名の緊張感がようやく過ぎ去り、みんなでカラオケ店へ向かうことになった。
裏門のところで、収が「ちょっと待って」と携帯電話を取り出す。
例のちいちゃんがまだ来ていないのだという。
14人で裏門の前に固まる、というのもなかなかない光景だな、と思いながら、あたしは収の隣に立っていた。
だって、他の生徒会役員の子とかあまり知らないし、坂田さんに話しかけに行くなんてとんでもなくて。
「メール来た。もうすぐ来るって」
携帯を確認してポケットにしまいながら、収はふとあたしに視線を落とした。
そのままじっとあたしを見てから、収の口の端が意地悪そうに上がる。
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