深く落ちる響き

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  「……おい。俺にくっついてないで、坂田さんと話してこいよな」 「な……何でよ」 「ここんとこ、あの人が気になって仕方ないくせに。今日だって、ずっと坂田さん見てただろ?」  ……こいつ……。 「そ、そういうんじゃないって! 自分だって二の足踏みまくりなくせに……」 「俺とちいちゃんは、まだ1年くらい時間があるもん。けど、お前は? 今日あのひとの世界にぐっと入っとかないと、これで今生の別れになるかも知れないよ」 「だから、そういうんじゃ……」 「俺と陽香ってさ、結構長い付き合いになるけど。俺、お前の口から兄貴以外の男の話なんて聞いたことないもん。何かあるのかないのかなんて、まだ判らないだろ。自ら芽を摘むような真似すんな。人生、一期一会だぞっ」  それに、と収はあたしの額にデコピンをよこした。 「あんまりお前にくっついてられたら、ちいちゃんに誤解されるから。遠慮して」 「ん、なっ」  そのまま、わしわしと前髪をかき上げられて撫で回される。 「収、やめて、バカ、蹴るよ」 「ふふん。陽香に悪態つかれたって怖くないからねー」  ぱ、と手を離されて、慌てて髪を直す。 .
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