軽い眩暈が友達で。

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  「……店員さん、呼んできて」  後ろの2人に振り返らずにそう言うと、2年の男の子が「じゃあ、俺が」と答えた。やがてすぐにぱたぱたと足音が遠ざかっていく。 「斉木、大丈夫か」  言うと同時にドアを開けると、面食らった。 「あ! 坂田! 助けて!」  斉木は、手で必死に洗面台のカランの部分を押さえている。  しかしその努力も虚しく、押さえているその隙間から水が吹き出して、周囲はびしょ濡れになっていた。  すさまじい勢いで吹き出している為、排水が間に合っていない。床のタイルには水が溜まり始めている。  すっかりびしょ濡れの斉木を見ると、彼の足元にカランらしきものが転がっていた。あれごと吹き出て外れたのか。 「……この季節に、水浴び? すごいね、お前」 「冗談言ってる場合か!」  はは……と乾いた笑いを漏らしていると、織部陽香が俺の隣に来て、張り紙の上の方のセロテープをぺりぺりと勢いよく剥がした。 「え、何してるの」  言うが早いか、上の支えをなくした張り紙はべろん……と裏向きで落ちるようにめくれた。 .
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