拒否をしないこと。

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   今ここで織部さんに対してどうこう、なんて思ったわけじゃないけど。  身も蓋もない言い方をすれば、“ここにいい獲物がいるよ”という、自分の意志とは違う場所からの信号……みたいな。  だって、相手は何も考えてないのかも知れない、と言いながら勝手に何かを感じ取って、怯えたり期待したりする──というのは、俺と額田先生、揃って好物としている反応だ。  自分があんな悪くてひどい大人と同じだと思いたくはないけど。  同じ傾向にあるからこそ、遠まわしに額田先生にした相談、というのがある。  例えば、愛美さんをどう思ったか、とか。  生々しすぎて確かめなかったけれど、額田先生は蓮見流華にも何かもぞもぞ反応するものがあったんだろうと思う。  でなければ、ただの後輩兼元生徒というだけで、額田先生が職場への出入りを度々許すわけがない。  流華さんと付き合っていたときはあまり考えないようにしていたけれど、額田先生は彼女をいじって遊んでいたはずだ、と今なら確信できてしまう。 .
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