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こういう衝動は大人だから芽生える、というものではないのは百も承知だけど。
だって俺、分別がなかったような子どもの頃は斉木にその矛先を向けてたことがあるし……幼なじみのあの男を、何度理不尽に泣き喚かせたか判らない。
まあ、S気味な人間の方が覚醒は早いんだろう。
集団行動においては、相応しい人間に相応しいパスが自然と回っていくものだ。
織部さんはどう考えても、俺や額田先生のいるこっち側の子ではないな、と思った。
まあ、どっちでもいいんだけど。反応するものはあるけど、いじり倒して育成したいわけじゃない。
育成、とか考えてから、ちょっとぞわっとした。
それっぽいことは何度もしたけど、考えてみたら女に1から教えるとか、やったことがなかったから。
年上の女の人としか付き合ったことがないから、当たり前だけど。
「……才能はあると思うけどね」
適当に話題を流すべきだと思いつつ、どうしても好奇心を抑えられずにそう口にしてしまった。
言ってから、頭を抱えたくなってしまう。
「え、それってどういう……」
「俺の経験上、だけど」
ふうと息をついた。
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