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フォローするはずが、更にいじってどうするんだ、俺も。
咄嗟のことに抗えなかった自分と、それをするするっと引っ張り出した彼女と。
この子との付き合いが何となく見えてきた気がした。
一緒にするわけじゃないけど、派手すぎずほどよく目立たず、でも女の子としてしっかりと可愛い──というのは、タイプとして西川めぐみと同じなんだけど、彼女に対してこういう願望は沸いてこなかった。
つくづく、人間というのは外側の皮だけを眺めていては判らないものだ、と思う。
話してみないと判らない、という意味で。
「判ってるよ、こんなの勧めるわけないだろ」
カゴの中の残りのDVDを戻し切ってしまうべく、俺は踵を返す。
戸惑った表情の織部さんは、一定の距離を保ってだけど──また、ついてきた。
ついてくるんだ……とか思っちゃうと、笑いが漏れそうになる。
きっとそれを口に出したら、怒ってしまうんだろう。
ちら……と彼女の顔色を窺うと、不服そうなのと恥ずかしそうなのが入り混じった表情だった。
「……判ってるなら、からかわないで下さい」
「はいはい」
笑いを含みながら、軽くあしらってみる。すると織部さんはまた口を尖らせた。
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