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ふあ……とひとつあくびをして、渡されたユニフォーム──いわゆるエプロン──を確かめて、身につけた。
家を出る数十分前までベッドで熟睡してしまっていたから、まだ少し頭がぼーっとしている。
始めたばかりのバイトは、それでも今日で4日目になっていた。
早く仕事を覚えてしまいたかったから、10日ほど連続で入れてくれと頼んだら、店長にすごく驚かれたけど。
親のしつこい反対で高校生のうちのバイトなんて許してもらえなかったから、10日連続で働く……というのが珍しいということをしょっぱなから学んだ。
さすがに半日ほとんど立ちっぱなし、というのは身体にこたえるらしく、まだ慣れていないせいか腰が痛い。
カウンターに入るなり、閉店中に返却された商品をチェックしていく。
日付を超過した商品はなく、つくづくルールを守りがちな日本人の国民性が窺えた。
「坂田くん」
さっきから新作と準新作のラベルの貼り替えをしていた先輩が、作業の手を止めてふと振り返った。
この先輩は、もう2年ここで勤めている人妻。
人妻といっても、まだ23歳の瀬戸市子さん。18歳で子どもができて結婚した、とか言っていた。
旦那さんの実家で暮らしているから、昼間は子どもをおばあちゃんに預けてこうしてバイトに励んでいるらしい。
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