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「どうかした?」
「いえ。もし収が来たら、そんなこと教えちゃダメですよ。アイツ、すぐあてにするから」
「ああ……」
カラオケの一件を思い出して、思わずこっちも笑いが漏れた。
確かに、佐久間は見ているこっちも気持ちがいいくらい“使えるものは使え”精神の持ち主だ。
使う側にいるときはいいけど、使われる側になったときは面倒そうな相手ではある。
「判った。じゃあ内緒だよ」
「え?」
「織部さんだけってことだよ」
ニコッと微笑むと、織部さんの頬がまた赤く染まった。
……変な気を起こさないまでも、この子のこの顔は、ちょっと癖になりそうだ。
している自覚以上に彼女のことを気に入っている自分が顔を覗かせて──ちょっと、楽しくなった。
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