拒否をしないこと。

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   思わず、さっと目をそらしてしまう。  ……反省して謝ったところなのに、またあの雨の日みたいな気持ちになりかけた。  というか、今はバイト中だ。理由の判らない衝動に自分を明け渡している場合じゃない。  カウンターの中の瀬戸さんの様子を覗き見ると、彼女はまだラベルの貼り替えをしているようだった。  少し急いで、DVDをパッケージに戻していく。  瀬戸さんの位置からは、防犯カメラの映像は見えていない。  微妙に2人きり、というこの状況を何とかしなくては。 「さて、そろそろ真面目に仕事しないと」  自分の気をしっかり保つ為に呟くと、織部さんがあっと口元に手を当てる。 「ご、ごめんなさい。お仕事中なのに。あたし、邪魔ですね」 「いや、邪魔ではないけど……」  今日は別に新作の入荷日ではないし、むしろこの時間は暇だ。  でも、織部さんに長居されるのはまずいと思った。色んな意味で。 「よかったら、何か借りていきなよ。カウンターで割引チケット通してあげる」 「え、いいです、そんな」 「別に、余ってるの使うだけだから、不正じゃないし。大丈夫だよ」  すると、織部さんは俺の顔をじっと見たあと、クスッと笑った。 .
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