気になること

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  「って、後悔したいんだけど。俺のこだわりだから、他の連中にやっといて、とか言えないんだよなー」  首をごりごりと回しながら、収はあたしを見て肩を竦めた。  収が書き写し終えたそばから誤字とか脱字をチェックして、原稿の汚れ部分に修正テープを走らせる。これが今のあたしの仕事。  3年になってから、あたしもこの生徒会の一員となっていた。  とはいえ選挙で決めたのは役職だけで、平のあたしは壇上に立たずに済んだけど。  まあ、壇上に立たなくていいって言うから、収のスカウトを受けたんだけど。  2人きりの生徒会室は、やたら広く感じる。  本当ならこの仕事をここでしていたはずのちいちゃんは、2年生の恒例行事のおかげで今日は遅くなるらしい。進路指導だ。  自分の2年生のときを振り返っても、親を呼ばれるわけじゃないし気楽なものだけど。  何となく扉の方を眺めてぼーっとしていると、収が「ん」と今書き上げた原稿をあたしに差し出した。  受け取って見ると、収の字は乱れ一つなくて読みやすい。  字の綺麗な人は書くのも早いな、なんて思いつつ修正テープを走らせる。 .
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