225人が本棚に入れています
本棚に追加
「やだー、同僚が女子高生を覗いてる。通報しなくちゃ」
声をひそめた瀬戸さんが、ドン、と思いきり背中に体重を預けてくる。
一瞬めちゃくちゃ驚いて、ビクッとしてしまった。
慣れると、瀬戸さんは実に人懐っこい女性だった。
誰にでもこうだから、結婚前はよく旦那に叱られた、と言っていた。
一見まったいらな瀬戸さんの胸は、こうされると意外とあるな、と思わされる。
逆セクハラだと思うんだけど、こういうの。
「違いますよ。覗きとか、冗談じゃない。友達なんです」
「ああ、いつものあの子?」
纏わりつく瀬戸さんの腕を鬱陶しそうに振り解くと、彼女はふうん、と一緒になってモニターを覗き込んだ。
「また、何か借りに来たの?」
「そうかも知れないけど……今日はとりあえず返すものがあるはずなんですけどね」
織部さんの丸い頭のてっぺんを、瀬戸さんといっしょに眺める──変なことをしているような気になってくる。
いたたまれなくなってスイッチを切り替えると、隣で瀬戸さんがぷぅっと頬を膨らませた。
.
最初のコメントを投稿しよう!