繰り返すように輪る。

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   思い返すと、情けなくなってきた。  それでも去年の今頃は、愛美さんに対してイタズラを仕掛ける、という遊びをしてたけど。  それは、俺が愛美さんのことをまだ想っていたからだ。  そしてあのひとの方も、俺が最後まで、なんていう無茶をしないのを判っていたから、本気で嫌がってはいなかった。  けど、今や愛美さんは人妻で、おまけに妊婦さんで。  いくら好きでも、そういう女の人相手に変な気を起こせるやつがいたら、そいつは本気で頭がおかしいと思う。  そこまで考えて、ハッと我に返った。  とっくに終わったことなのに、何をまったり思い出してるんだろう。  一昨日、うっかり保健室で再会してしまったせいだろうか。  すっかり満たされて落ち着いた様子の愛美さんの顔を見て、ああ俺はこのひとの物足りなさそうな目が大好きだったんだなあ、と遠い日の花火を想うように懐かしく感じただけだけど。  それ以上何も感じなかったことに、正直ほっとした。  せっかく愛美さんの旦那さん──英雄くんと顔を合わせても平気なようになったのに、終わった恋愛の残りかすなんかにもう一度燃え上がられても、正直困る。 .
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