繰り返すように輪る。

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   この辺りは、9時を過ぎると極端に人がいなくなる。  俺に合わせて歩かせていたら、10時には間に合わないかも知れない……というのは建前で。  女の子と自転車で二人乗り、なんてしたことがないから、単にしてみたくなったんだ。この娘と。  すると、織部さんは躊躇うような仕草を見せた。 「いいよ。バランスは俺が取るから横乗りで」 「あ……」  また、ぽ……と顔を赤らめる。彼女が俺とのやり取りに慣れることそのものに時間がかかりそうだ。  肩を竦めて、彼女が乗りやすいように自転車を少し傾ける。  織部さんはスカートがシワにならないようにお尻のあたりをさっとまとめて、おずおずと荷台に乗った。  自転車が織部さんの足の方に傾きそうになるのを、少しだけ力を入れて支える。 「……それじゃ落ちるよ?」 「え」  俺に触れないように荷台に乗り、織部さんは両手を膝の上に乗せている。  判ってはいても、乗っただけでいようとするとか、面白すぎる……。  笑い出したいのを何とかこらえて、俺は自転車のバランスが崩れないよう、その場で軽く踏ん張った。 「2人乗りのときは、こう」 .
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