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「ばかに、機嫌よくない?」
見ているだけで、その広い額を手のひらでぺちぺちと何度も叩いてやりたくなるような顔が目の前にあった。
「お前か」
退屈そうに溜め息をついてやると、斉木は俺の前の椅子に腰を下ろしながら、キイイと妙な声を上げた。
「仁志くんたら! またアタシのこと忘れて! どういうことなのよ! アタシだけって言ったくせに!」
「やかましい。そのネタ、何年やる気なの」
学食の喧騒の中でさえ、トーンの高い斉木の声はよく通る。
俺は、妙な視線を感じてハッと振り返った。
すると、真後ろの席の4人組の女の子達が、全員俺と斉木を凝視している。
その光景に嫌な既視感を覚えて、俺はとっさにかぶりを振った。
すると女の子達はハッと我に返ったように、各々の抱えた食器に視線を落とす。
その全員の頬がもれなく赤く染まっているのは、俺の気のせいだと言い聞かせた。
偏見のつもりはないけど、漫画を描くサークルの人達じゃなかったかな、今の……。
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