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それに気付いた瞬間、悪寒が走ってしまった。
これから4年間ずっと、またその手の誤解と視線を受け続けるのだろうか。
他人の趣味嗜好をどうこう言うつもりはまったくないけど、俺はあくまで女の子が好きだ。
そういう目で見るなら見る、でも別に構わない。
ただそれを不特定多数で共有したり、俺が気付くくらいあからさまな好奇の目で見たりするのは……やめて欲しい。
俺の小さな憂鬱を共有してくれる気のなさそうな斉木は、カツカレーにスプーンを入れながら楽しそうだ。
「あのね坂田、聞いて聞いて」
「俺はここにいるんだから、勝手に話せば。何」
あしらうような俺の態度を気にする様子もなく、斉木はニコニコと笑う。
「今日、めぐみちゃんと会う約束してんの、俺。すごくない!?」
返事の代わりに少し、目を見開いた。
「めぐみって、西川めぐみ……?」
「他にどのめぐみがいるんだよ」
「いや、お前、そんな呼び方してたっけ」
ふふふ、と斉木はいやらしい笑いを浮かべる。
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