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「お前のパンツ、1枚あげれば」
「は?」
「男物の下着干しとけば、ドロボーの方も敬遠してくんじゃない」
すると、斉木は苦虫を噛み潰したような顔になる。
「そういう問題じゃないんだよ。めぐみちゃんが住んでるマンション、会社のだから」
「うん?」
「同じ敷地内に男子棟と女子棟があって、その間に洗濯機と乾燥機がバーッと並んでるランドリールームがあるんだって。被害に遭うのは、そこでらしい」
「……はあ、同じ社員の仕業ってこと」
「そそ。男物混ぜたって、ひとりでワンルーム使ってるのはバレバレなんだよ」
「寮長とか、なんとかできないのかな」
「俺も、そう言ったんだけど。同期の子がいなくてさ、めぐみちゃん、先輩達になかなか打ち解けられないみたいで。洗濯行くのもひとりになっちゃうんだと」
だから今日は全部聞いてやるんだ、と斉木は責任感を背負いカツを口に入れる。
「……困ったら、メールして来いよ」
「うん、そのつもりだから今話したの。アドバイスよろしくね」
頼れる男を演出したいんだろうが、ちゃっかりしている。
そんな斉木に苦笑すると、俺はコーヒーに口をつけた。
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