おりこうさんな君。

13/20
前へ
/20ページ
次へ
  「お前のパンツ、1枚あげれば」 「は?」 「男物の下着干しとけば、ドロボーの方も敬遠してくんじゃない」  すると、斉木は苦虫を噛み潰したような顔になる。 「そういう問題じゃないんだよ。めぐみちゃんが住んでるマンション、会社のだから」 「うん?」 「同じ敷地内に男子棟と女子棟があって、その間に洗濯機と乾燥機がバーッと並んでるランドリールームがあるんだって。被害に遭うのは、そこでらしい」 「……はあ、同じ社員の仕業ってこと」 「そそ。男物混ぜたって、ひとりでワンルーム使ってるのはバレバレなんだよ」 「寮長とか、なんとかできないのかな」 「俺も、そう言ったんだけど。同期の子がいなくてさ、めぐみちゃん、先輩達になかなか打ち解けられないみたいで。洗濯行くのもひとりになっちゃうんだと」  だから今日は全部聞いてやるんだ、と斉木は責任感を背負いカツを口に入れる。 「……困ったら、メールして来いよ」 「うん、そのつもりだから今話したの。アドバイスよろしくね」  頼れる男を演出したいんだろうが、ちゃっかりしている。  そんな斉木に苦笑すると、俺はコーヒーに口をつけた。 .
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加