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「俺、坂田は年上しか駄目なのかと思ってた」
「たまたまだろ。あえてそういう女の人を選んでたわけじゃないから」
「まあ、そうだろうけど。俺は、背の小さい女の子がいいけど!」
おそらく西川さんのことを思い浮かべたのであろう斉木は、一瞬へらっと顔をだらしなく緩ませる。
陽香のことを思い浮かべたとき、うっかりああいう顔だけはすまいと心に決めた。
斉木は最後のカツを口に運ぶと、咀嚼しながら俺をじっと見つめる。
「坂田……」
「何」
「俺、頑張ってくるから。お前も頑張れよ」
何だかどこかのお笑い芸人の決めフレーズのようにそう言うと、斉木はふと真剣な顔をする。
俺はそれを見つめ返し、ふっと微笑んで、「はいはい」と軽く返事をした。
それで充分、斉木には伝わっているはずだから。
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