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ちゅ……と軽く音を立てるだけのキスを何度かして、そっと口唇を離す。
案の定、キスをしながら呼吸をしてもいい、ということさえまだ判らない彼女は、少し呼吸を乱しながら俺の腕の中で俯いた。
でも、言葉で教えるほど間抜けなことはない。
できたら、もう少し激しいのをしながらやりとりしたいところではあるんだけど。それは、もう少し先かな……。
長い艶やかな髪を撫でながらふと部屋の中を見ると、窓の外がオレンジ色に染まりかけていた。
そう長い時間戯れていたわけではないのに。
いつ梅雨入りしてもおかしくない気候らしいから、天気が崩れるのかもしれない。
そこで、俺は昨夜あたりからうろうろしている違和感の掃除をしたくなった。
「……あのさ」
「は、はい?」
いつまでこうしてビクビクしてくれるんだろうな、なんてことを考えながら、俺は彼女の顔を覗き込む。
「こういうやりとり、したことなくて新鮮なんだけど、一応訊くね」
「なん……ですか?」
恐る恐る俺に視線を返してくれる彼女の顔を見ながら、できるだけ邪気のない笑顔を作ってみせる。
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