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「うん、よくできました。今後もそれでよろしく」
「……うう……」
「なに?」
「……言っても、いいですか?」
「気分がいいから、何でもどうぞ」
すると、陽香は俺の腕の中でまたぎりりと下唇を噛んだ。
あれだけ何度も噛みしめて、よく傷にならないな、と思いながらそれをうっとりと眺めていると、ふいにその口唇が不機嫌そうに突き出される。
「……イジワル、ばか」
陽香の精一杯の悪態に、声を上げて笑ってしまった。
恥ずかしがって彼女が飛びのいてしまう前に、もう一度その身体をぎゅっと抱きしめながら。
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