氷山の一角、というもの

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「……さっきの、お母さんの言動の真偽を確かめてもいいかな」  部屋のドアを閉めるなり、仁志くんは収の真ん前に立って、威嚇するように見下ろした。  同じくらいなのかと思っていたら、仁志くんの方が少し背が高い。  収は去年辺りから成長が止まってきた、なんて言ってたけど、もしかしたら仁志くんの方はまだ伸びてるのかも知れない。  仁志くんの視線を間近で受ける収は、怯えた様子で後ずさる。  逃がすまいとするように仁志くんがまたその分の距離を詰めた。  あたしとちいちゃんはカバンを持ったまま、その光景をポカンとして眺める。 「う、嘘ですよあんなの」 「君の口から聞かせてもらおうか、佐久間」 「親にありがちな妄想ですって! どうせなら、小さいときから知ってる近所の子に、っていう、願望みたいな」 「本当に?」 「本当ですって。陽香のこと女に見えたことなんて、ないですって。俺には、小猿にしか」  思わずムッとしてしまった。そりゃ、そんな目で見られても困るけど。 .
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