氷山の一角、というもの

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   収が、学校を休んだ。  球技大会について決めなくちゃならないことがまだたくさんあるのに、それは収がいなくちゃダメなこともあるのに──どうしたんだろう。  収にメールをしてみたら、“宛先不明”で戻ってきてしまった。 ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「昨日の夕方から、私も連絡がつかなくて……」  昼休み、こわごわ教室を訪ねてきたちいちゃんの不安そうな顔を見て、彼女も収の様子を把握できていないことが判った。  ちいちゃんは昨日、何事もなく駅まで収と一緒に帰ったのだと話した。  けれど、家に帰っていつものようにメールをしたら、もう収には届かなくなっていたらしい。 「お正月、会長ってメアド変えたじゃないですか。そのときはすぐに教えてくれたのに、なんで……」 「電話はたぶん、ちゃんと繋がるよね? 電源ずっと切ってるみたいだけど……」  ちいちゃんはコクンと頷いた。 「それはもう、昨日のうちから。でも、今まで何十回かけたか判らないんですけど、全然繋がらなくて」  あたしだって、メールができなかった午前中の時点で収に電話をかけたのだ。  だけど、電源を切っているというアナウンスが流れるだけで、繋がる気配はまったくなかった。  こんなふうに人を混乱させて、心配させるようなヤツじゃないのに。 .
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