氷山の一角、というもの

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   仁志くんの話がいいものであろうと悪いものであろうと、収のことならちいちゃんを外しちゃいけないと思う。  だけど、何か知ってるふうの仁志くんが、ちいちゃんには聞かせられない話しかできないって言った。  ちいちゃんには悪いけど、あたしは仁志くんの言うことを聞くしかなくて──。  ……なんだろう。恋愛って、理屈がついてこないことが多すぎる。  申し訳なく思う気持ちにはフタをして、あたしはちいちゃんに「放課後、もう一度会おうか」と約束した。  寂しげなちいちゃんの背中を見送ってから、あたしは階段を駆け下りた。 .
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