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「やわらかいだろ、ここの。額田先生がこれ洗濯してるんだよ。あんな顔して」
「……額田先生が?」
「うん。まあさすがに、誰か使ったときだけみたいだけど」
「……あ、どういうことです? 昨日収に会った、って……」
あたしが切り出すと、仁志くんはきゅっと軽く眉根を寄せた。
「……陽香、佐久間から聞いてないの?」
「何を……?」
「本当に? 一言も?」
「さ、最近だと、ちいちゃんと付き合い始めたことくらいしか……」
なんだか詰問するような仁志くんの訊き方に、思わず上半身を引いてしまう。
あたしがそうしたことでハッとした顔をすると、仁志くんは少しだけ俯いて、親指の爪を軽く噛んだ。
「……佐久間ね、昔付き合ってた女の子にずっとちょっかい出されてたんだよ。けっこう、悪い感じで」
「え……」
寝耳に、水、という感じだった。
「全然、知らなかった……」
「ついさっき、額田先生に聞いたんだけど。陽香、佐久間にそういう女の子がいたことすら知らなかった、って?」
よく判らない欠落感と、寂しい、っていう感情が同時に湧いてきて、思わず下唇を噛みしめる。
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