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今の収はたぶん……ちいちゃん一筋だし、山崎さんさえ諦めてくれて、写メをちゃんと消してくれたなら、もう気にすることじゃないはず、なんだけど。
それでも、大ショックだ。
幼なじみがそんなことをしていたことにもショックを受けたし、リアルタイムでそんなことにちっとも気付かなかった自分の鈍さもどうかと思う。
それに、何より収があたしのことを好きだった、という話をどう受け止めたらいいか、まったく判らない。
今日の昼あったことを考えていると、収と額田先生の話は終わったようだった。
カラカラ……とアルミサッシの戸が開いて、閉められる音がする。
どうやら収は保健室から出て行ったようだ。もぞり、と布団から顔を出す。
「わあっ!」
さっきまで窓辺に立っているだけだった額田先生が、カーテンの内側まで来てあたしを覗き込んでいた。
思わず声を上げると、額田先生はクク……と声を漏らして笑う。
「色気のない声出すなよ」
「な、なんで先生相手に色気なんか」
「ガキに興味はないけど、女が普段出さない声を聞くのは好きなんだよな」
ヘンタイ、と言いかけて、口ごもる。
この人にそんなことを言った日には何をされるか判らない。
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