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昨夜のことを思い起こして、俺は帰りの駅のホームに立ちながら盛大な溜め息をつく。
まったく、“事実は小説より奇なり”とはよく言ったもので、自分がいかにつまらなくて凡庸な人間かを、昨日と今日とで改めて思い知った。
額田先生が、佐久間のそうした行動を何となく知ってたことにもびっくりしたし……。
『そこの、昇降口でな。よくイチャついてたんだよ、佐久間のヤツ』
額田先生は、合点がいった、というようにそう言った。
どんなふうにイチャついていたか、その内容はあえて聞かなかったけど。
そう言えば、英雄くんも昔、体育倉庫で変なことをしてたんだっけ。
この学校には、ところ構わずが多すぎる。
自分のその一員かも知れない、とふと省みて、何だか落ち込みそうになった。
……少なくとも、今は違う。と、思いたい。
誰も知らないはずの、過去の自分の所業をこっそり取り出して、恥じたり悔やんだりする。
それができるようになってきたら、そいつはそこそこ大人なんじゃないだろうか。
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