僕はそれを愚かだと笑えない。

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   過去にあることを恥ずかしいと思う自分をどうにか落ち着かせようとして、そんなふうにごまかしてみた。  あるいは、これも数年後には“とんでもない欺瞞”と恥じているのかも知れないけれど。  その繰り返しが人生なのかも知れない。 ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  帰ってすぐにシャワーを浴びた。  帰宅した、というメールを陽香に送っておいたらすぐに返事が来てたから、電話をしてみることにした。 『収、明日は来るみたいです。さっき、ちいちゃんからメールが』 「そっか、それは何より」  濡れた髪をタオルで拭きながら、煙草を咥えて火を点ける。  すぐにメンソールの香りが広がって、その心地よさに思わず目を細めた。 『ね、仁志くん』 「うん?」 『訊いてもいい?』 「? いいよ、なに」 『結局、今日、何に対して不機嫌だったの……?』  陽香が、息を飲んでから口を開いたのが判った。 「意外と粘るね」  陽香の記憶力のよさはまるで執念だな、と思いつつ、俺の顔は綻んでいるに違いなかった。  まあ、顔の見えない電話なら、言ってもいいかな……。 .
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