僕はそれを愚かだと笑えない。

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   健全な人間の人格と性欲の因果関係の薄さを陽香に弁解したいところだけど、急いでかけ直したらものすごくがっついてるみたいだ……。  かと言って放置したら、せっかく勝ち取れそうだった信頼まで一気に下降線になる気もするし。  すると、俺の思考など無視して手の中の携帯がけたたましく鳴り響いた。慌てて通話ボタンを押す。 『何するんですか!』  怒りと焦りが全面にデコレートされた陽香の声に、思わず耳を離す。 「何するって、切ったのそっちだろ」  怒り返すでもなく、切られたショックをこっそり引きずったまま、気の抜けた声でそう言うしかなかった。 『ひ、仁志くんがあんなこと言うから、だから、びっくりして!』 「……ええ……」  切ったものの、勢いでかけ直してきたのか。  ジワジワとまた嬉しさが戻ってくる。 『だから、適当にボタン押しちゃって、そしたら切れちゃって、もしもしって言ってるのに返事なくって』 「……ははは」 『笑い事じゃないの! 手加減してってお願いした途端、あんな……』 「うん?」  怒り声の中に、見え隠れる甘い気配。 .
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