僕はそれを愚かだと笑えない。

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  『……あんな、ズキズキするようなこと、言わないで……もう……』  ……ズキズキするのはこっちだよ、馬鹿……。  胸と、人には言えない場所が痛いくらい疼いて、思わずそばの壁にごつん、と強めに額を押し付けた。  どうやら俺は、自覚以上にこの処女に参っているらしかった。  ……下衆で申し訳ないけど、陽香の中に入れてもらえるのはいつになるんだろう。  この娘とのことは段階を踏んで、大事にしよう──なんて思った最初の自分を、もうとっくに裏切りたくて仕方がなくなっていた。  さっきはそれをありがたく思って、本気で愛おしく思ったくせに、勝手なものだ。 .
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