245人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
明るい茶髪で、でも綺麗に毛先を切り揃えた、今どきにしては厚めのおかっぱ頭。
軽くメイクを施してあるその女の子の顔つきは、あくまで普通の粋を越えないと思う。
派手すぎず、地味すぎず。どちらかというと地味寄りのあたしとそう変わらない感じの。
収がモテるのは確かだけど、彼が忙しく動き回るものだから、教室にまで訪ねてくるような子はあまりいない。
ぎゅっと口唇を結んだおかっぱさんの妙な威圧感に、クラスの誰も返事できずにいた。
再放送で見た、とある商社の庶務二課が舞台になっているドラマの主役の、背の高い女優さんの威圧感に近いものがある。
どうしたものだろう、と思っていると、そのおかっぱさんはぐるりと教室を見回し──何故だかあたしで視線を止めた。
「えっ!?」
よせばいいのに、思わず反応してしまった。
すると、おかっぱさんは見つけた、というような顔をする。
おかっぱさんは、そのままずかずかとあたしの席までやってきた。
「え、あの、何でしょう」
威圧感のせいで、いきなり怒られるのかと思った。
するとおかっぱさんは、ぎゅうっと絞るように眉間に皴を寄せ、中腰であたしの顔を覗き込む。
.
最初のコメントを投稿しよう!