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「写メなのは聞いたよ。メールの内容までは聞いてないけど。収、話したがらないし」
「そっか……よかった」
ほう、と全身で溜め息をつく山崎さん。その綺麗なおかっぱが、さらさらと揺れる。
「でも、なんであたしのこと知ってるの?」
「そりゃあ……おーちゃんがずっと好きだった女の子だもん。無視はできないよ」
「は?」
自分の眉間に思い切りシワが寄ったのが判った。
不自然、とか不愉快、とか。
色々言葉が浮かぶけど、どれも何となくピンと来ない。
ああ、そうだ。不可解、だ。
「何言ってるの。勘違いだよ、それ」
昨日の、佐久間のおばさんの反応が頭に浮かんでいた。
いつも一緒にいるから、きっとそんな勘違いをされたんだ。
すると、きょとんとした顔をして、山崎さんはかぶりを振る。
「ああ、ね。織部さんがそんなだからほとんど諦めてるけど、って。おーちゃんの口から聞いたもの。おーちゃんは、小学生の頃からずっとあなたのこと好きだったんだよ?」
ぱち、ぱち、と。山崎さんと同じタイミングで瞬きしてしまって、目が乾いて痛くなる程見開いてしまう。
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