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だって……昨日、収、否定して……。
『俺の彼女、そっちの小さい可愛い子の方だから! その子の前で変なこと言わないで』
ちいちゃんに聞かれたくなかったから?
え、本気で、判らない。
だって収、仁志くんとのことたきつけるようなこと言ってきてたし、付き合うことになったって言ったら喜んでくれたのに……。
「やっぱり織部さんが忘れられないから、そんな状態であたしと付き合えないって。だからあたしも納得してバイバイしたのに、今ごろ他の娘と付き合うなんて許せない」
「ああ、うん……それはあたしも、判る気が……」
頭の前の方がグラグラするのを感じながら、あたしは山崎さんを見、頷いた。
山崎さんの気持ちは、判りやすいほど簡潔だと思う。
収のことを責めたくなるのも判る。まだ好きなら、なおさら。
けど、収があたしのことをずっと好きだった……というのがあたしにとっては全然リアルじゃないし、理解できなかった。
「だから……自分でも恥知らずだなって思ったけど、色々写真送りつけて、これバラすよ、って言っちゃった。なのにおーちゃん、携帯繋がらないようにしちゃうし」
「あの……」
額を撫でながら、首を傾げた。
指先に触れる自分の額は、5月も終わりに差し掛かったこんな陽気の中にあっても、変に冷たい。
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