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「どんな、写真なの?」
「……」
饒舌だった山崎さんは、ふと押し黙る。無視と言うより、恥ずかしがっているような。
「……その……最高にベタベタしてるときに遊びで撮った写真、を……」
「……? 2人の?」
「そりゃそうよ、2人でなきゃできないでしょ、エッチは。……あっ」
言ってから、慌てて後退した山崎さんはガン、と手すりにぶつかった。
ゴーン……と、非常階段の上下に震動が走って、足元の鉄板に余韻が残る。
ぽ……と山崎さんの顔が赤くなった。
今さらながら、自分が仁志くんにどんな目で見られているかが一瞬で理解できた。
……この人の挙動、あたしと似てる。
その瞬間、収がどういう目で山崎さんを見ていたかも判ってしまって、何だか急に視界の下半分が真っ暗に染まっていく気がした。
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