海中における氷山の姿とは

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  お風呂上がり。  湿って若干重くなった自分の黒髪が絡まないようにしながら、タオルに包む。  そうして水気を取りながら、洗面所の鏡の前で「あ」と声が漏れた。  制服の襟でも充分隠れる場所に、小さな内出血のアザが残っている。  犯人は……仁志くん、だ。今日、彼の口唇が触れた場所を、可能な限り思い返す。  恥ずかしかったし、そういう行為を当然のものとして受け入れることもなかなか難しくて、「早く慣れてよ」という低くて甘い笑い声を聴きながら、必死で色んなものに耐えていたから、どうにも記憶が曖昧だ。  兄貴の本に、“その瞬間、チクリとした”なんて書かれてたことがあるから、こういうことは少し痛いものだと、何となく思っていた。  けど、今日は……仁志くんの言葉通り、痛いことなんてひとつもなかった。  キスマークって、判らないようにつけることもできるんだ……。  お風呂を出たばかりで血の巡りもばっちりなせいもあって、急に頬がぽっと熱くなる。  鏡の中のそのアザを覗き込みながら、そこに指先だけで触れる。生々しい……。 .
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