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彼女の口から色々聞かされたけど、やっぱり悪い人じゃないんだろう、と思ってしまう。
だって、好きな男の子が前に好きだって言ってた女の子に対して、そんな親切にしてやれるものなんだろうか。
保健室に向かう途中そう訊くと、山崎さんは苦笑していた。
『おーちゃんに聞かされてから、もう1年半も経つしね。それに、見てたら織部さんが彼のこと意識してないのは、同じ女の子としてなんとなく判るし、それに……』
『それに?』
『織部さんのことは、もう慣れちゃって、麻痺してるのかも』
自分でもよく判らないけど、と言いながら山崎さんは笑った。
グルグル回るような自分の意識を何とか押さえつけて、そっと歩く。
『山崎さん……どうして、そういう写真撮ろうとか思ったの?』
気分の悪さのせいで、何も考えずにそう口にしてしまった。
言ってからハッ、と顔を上げると、山崎さんはあたしを支えながら眉尻を下げる。
『最初は……ヤダ、って。どうしてもその一言が言えなかったの』
収からなんだ……。
別に確認しなくていいことを確認してしまって、目の裏がジンジンと疼き出した。本気で目が回る。
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