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「……だからさ、どんな写真だったの? それ、黙ってられたら、俺はもう帰るしかなくなるんだけど」
陽香や佐久間の家の近くの駅。俺にとっても馴染みのその駅に、深夜まで営業しているカフェがある。
今まで入ったことはなかったけど、今日のことは誰にも知られたくないと言う佐久間。
動揺が尾を引いている佐久間をそのまま帰すのも忍びなくて、そこに寄った。
最初、佐久間はただ“もう一度付き合ってくれないと写真を学校中にバラまく”と言われて脅されている──としか話さなかった。
携帯の写メだから、その気になれば流出はあっという間。
それくらいの想像力はあるけど、佐久間がそこまで怯える理由が判らなかった。
「……つ、付き合ってた間に撮ったものです」
「だから、どういう状況の?」
正直なところ。女と撮った写真で、他人に見られたら困るもの。
その時点で、おおよその予想はついていた。
けど、佐久間が俺に助けを求めたがっているのなら、自分の口で言った方がいいに決まってる。
何にでもリスクはついて回るものだ。
佐久間はぎゅっと口唇を噛みしめると、そのまま眼鏡を外し紙おしぼりを目頭に当てる。
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