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こんなもの、ちょっと好奇心旺盛な人間が見つけたら、拾って中を見るに決まっている。
デジタル時代の恐ろしさをまざまざと感じながら、俺は返事に困ってアイスティーに口をつけた。
「佐久間さ、どういう気分で写真撮ってたの」
「……え」
「今付き合ってる女の子と深い関係になったら、またそういうことやるの?」
問いかけに対し、佐久間の顔は青ざめる。
「で、できないですよ、そんなの。携帯落としたらって考えたら……彼女を誰かに見られたらって思ったら……できないです」
「じゃあ、そのときは何でそれを考えられなかったの?」
その質問に、佐久間はうなだれる。
“後悔”の2文字がそのまま書いてあるような顔で、佐久間はぽつんと言った。
「……何も、考えてなかったんです。初めてで、楽しくて夢中になって……雑誌とかDVDで見たことやってるうちに、どんどんエスカレートしていって。今思えば、そういうことさせてくれたなら、誰でもよかったのかも……最低ですけど」
「……うん、最低だよな。女の子の身体を玩具にした報いだよ、これは」
はい、と怯えたような声で、佐久間は再び眼鏡をかける。
その奥の瞳には、まだ涙が滲んでいた。
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