僕はそれを愚かだと笑えない。

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  「で、その元彼女は、なんで急にこんなもの送ってくるような気持ちになったんだろう」 「俺は、誰にも本気にならないヤツだ、って思って諦めてたって、メールに書いてありました……」 「ふうん?」 「その子、すっげえ本気でいてくれたみたいで。でも、俺がそうじゃないからって、諦めたらしいんです。けど最近、俺に彼女ができたらしいって勘付いたみたいで。そしたら、頭に血が上って、って……」  ……女は怒ったら怖い。  自分の経験を手繰り寄せて、具体的にその記憶が出てきたわけじゃないけど。  女と深く関わったことがあれば何となく、本能的に判る──と、思う。  佐久間を見ながら、ふと昔からの先輩のことを思い出した。  好きだった女の人の夫──朝日奈英雄のこと──だけど。  そういえば彼も、別れた女との関係を清算できなくて彼女を泣かせ通しだったな、なんて思って。  胸の中に苦いものがぐるぐると滲み出す。  今思えば、俺の“好きな女としかそういうことができない”というポリシーは、英雄くんのこともあるせいかも知れない。  好きな女の子の肌でないと触れたいと思わない、という基本的なこともあるけれど。  早く、どんな女の子なのかしっかり確かめたい──とか、陽香に対してそう思う自分がひどく健全に思えた。 .
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