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先に高野がエレベーターに乗り込み、ボタン側へ立った。俺は携帯をしまいながら、続けて乗り込んだ。
「真っ直ぐ社長室でよろしいですか?」
「ああ」
そう返事すると、高野はボタンを押し、エレベーターのドアが閉まった。
ゆっくり動き出す。
俺は何も考えずに、ただドアを見つめていた。
そんな俺に、高野が話かけてきた。
「あの、…社長」
「なんだ?」
「さっきのかかってた携帯って、…社長のですか?」
その言葉に、俺は高野の方を見た。
「それって、…相沢さんの携帯、ですよね?」
高野は俺のほうではなく、ボタンを見つめたまま話していた。
…なるの携帯を、見たことがあるのか?
さて、何て返す?…見たことがあるのなら、隠す必要はないだろう?…濁してみるか?
頭の中で言葉を探しながら、視線をまたドアの方へ戻した。
「…だったら、なんだって言うんだ?」
高野が、こっちを向いたのがわかった。
「……相沢さんの恋人って、まさか…社長ですか?」
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