全てがマイナスに働く-1

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先に高野がエレベーターに乗り込み、ボタン側へ立った。俺は携帯をしまいながら、続けて乗り込んだ。 「真っ直ぐ社長室でよろしいですか?」 「ああ」 そう返事すると、高野はボタンを押し、エレベーターのドアが閉まった。 ゆっくり動き出す。 俺は何も考えずに、ただドアを見つめていた。 そんな俺に、高野が話かけてきた。 「あの、…社長」 「なんだ?」 「さっきのかかってた携帯って、…社長のですか?」 その言葉に、俺は高野の方を見た。 「それって、…相沢さんの携帯、ですよね?」 高野は俺のほうではなく、ボタンを見つめたまま話していた。 …なるの携帯を、見たことがあるのか? さて、何て返す?…見たことがあるのなら、隠す必要はないだろう?…濁してみるか? 頭の中で言葉を探しながら、視線をまたドアの方へ戻した。 「…だったら、なんだって言うんだ?」 高野が、こっちを向いたのがわかった。 「……相沢さんの恋人って、まさか…社長ですか?」
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