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「ああ。種類にもよるらしいが、はやいものだと3月上旬には咲くみたいだ。たしか、…桃桜って種類だったか?」
「へぇ、じゃあそろそろ開花しちゃうんですね?はやいなぁ。はやくこっちでも見たいかも」
すると、悠哉が私を見てクスッと笑った。
「不思議だよな」
「…何がですか?」
「毎年仕事のことばっかりで、桜なんて気にもしてなかったのに。…なると、見に行くのもいいなって思ったよ」
…う、うわぁ。
ストレートに私の胸に突き刺さるその言葉に、顔が赤くならないわけがない。
うれしすぎる。
そう思いながら、私は悠哉に話しはじめた。
「あの、私の実家の近くに、けっこう有名な桜の名所があるんです」
「へぇ、そうなのか」
「はい。道を挟んでアーチみたいにずっと並んでて、私、いつもその桜で四季を感じてました。春は花びらのピンク、夏は葉が生い茂って青緑、秋はその葉が終わる茶色、冬は雪が降り積もると真っ白になるんです」
私はその情景を思い出しながら伝えた。
悠哉をパッと見てみると、私に優しく微笑んでいた。
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