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「それの頭蓋に向かってタマ打ち込むって何よ、誰だって怒れるわ」
グジュグジュと水分を含んだ粘土を捏ね繰り回した時に出そうな音と共に血が跳ねて散り落ちる。中々弾丸が掘り出せない。
不本意ではあるが、額に開いた弾痕の内部で指二本を上下左右に動かして少しながら穴を拡張し、弾丸を摘出する作業に親指も従事させる。
「俺だってこうヘラヘラしちゃいるが痛くない訳でもねェ……こうしてる今だって怒りに痛み苦しみの境地ってモンよ、んン? さてさて」
お、やっと取れた。
脳味噌に埋まっていた弾丸、何とも真っ赤な弾丸を人差し指と親指で摘まむ。なんともすっきりした気分だ。コイツにはちょっとした愛着すら湧いてくる。
俺を囲む輩からは動揺が見て取れた。頬を伝う汗、苦そうな表情。それでも体勢に乱れが無い事から踏んだ場数が窺える。流石の一言ってやつだ。多少の上から目線であるけれども。
そして、殺すけども。
まず始めは。
俺に手を出してきたアイツ、随分とデカい拳銃を構えた野郎にしよう。ヤツとの距離は目測7、8メーター位だろうか。黒服の集団の九人の中では俺との距離が一番近い。縁もあって丁度良いので目標にする。
頬の痙攣から平静で無い事が測り取れるその男。俺は頭を少し下げ、同時に顎を僅かに突き上げてから意図的な笑顔で語り掛ける。
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