prologue

5/7
前へ
/12ページ
次へ
頭を遠慮無く狩りに来た重い一撃。  世界が赤く染まり、なんというか後ろ髪を地面に引き込まれる感じで俺は仰向けに倒れた。 さて。  畜生が。  俺自身に何をされたかの理解、頭を目掛けた銃殺(紛い)の把握と共に頭の中で怒りを示す数々が羅列されていく。  嗚呼もう駄目かなこいつら、救済の余地無しだわ。話す気が無いというなら仕方無い、殺すのに決めた。んでその後煙草吸う。  頭に昇った血は抉じ除けられた皮膚から流れてクールダウン……とは勿論いかない、比喩はあくまで比喩、足が無い腹でもすっかり立っている。 「あ゛あ゛ぁ、いってェ」  足の平で地面を殴り付ける感覚で膝を立て、腹に力を込めて体を起こす。  そんな俺の動きを見ていた無愛想な黒服ラッキョウ頭共は歯軋りや身動ぎ等、初めて感情の様な物を露わにしていた。非凡の風格、踏んで来た場数に基づく自信やプライドはあっても、やはり単純に予想外だったからだと、俺は思う。  そりゃあ人の形をした化け物なぞ初体験――いや、化け物童貞かは分からんが、少なくとも脳天に銃弾ぶち込まれても生きている『何か』と対峙するのは一度も体験した事は無いだろう。  そしてそんな対峙もこの時が最後だ。今日が、この時間が。何もかもが。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加