プロローグ

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 面倒事には係わり合いにならない方が良い、加えて銃声なんて危険な臭いが半端無い、こんな事に首を突っ込めばロクな事にならないのは目に見えている。俺は無気力ではあるが死にたがりとは違う。首を吊るなら魚を釣るし、練炭を焚くなら米を炊く。生粋の生きたがり(そんな言葉は無いだろうが)である。  まあこの銃声の件は学校で話す分にはちょっとした武勇伝になるだろう。見たことも無い土地ではではあるがそろそろ帰路に着いてもいい頃合いだ、三日掛けてのんびり帰るとしよう。ふむ学校はいつからだっけな――。  実際内心は文面程に落ち着いちゃいないのだが。 手汗は物凄い量が流れ出ているし、ペダルを何回か踏み外したし、さっき切った適当な十字はとんでもなくヘロヘロだった気がするし。だからこそ掻き消せる様に、掻き消せる程頭に血液を巡らせる訳だ。  帰ろう。そう思ってペダルに力を入れようとした瞬間にだ――  先とは比べ物にならない程の破裂音――爆音に耳が劈かれる。
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