prologue

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 どうやらヤツらの耳はグラサンを掛ける為の補助具でしかないらしい。溜め息を吐き、辺りの雰囲気を窺う事にする。  しかしこの廃工場、内も寂れた外観から予測できる程に何も無い。強いて言えば端の方に硝子が散ってはいる位だ。加えて人気も無いときた。 だからまあ一晩程度身を隠すのに最適だろうからと特に根拠も無いクセに、夜を越す程度大丈夫じゃあないかなんて思った俺は果てしなく駄目だったのだとこの状況で痛感させられる。 そしてこの状況に苦々しく思わされるのだ。俺が成層圏クラスの馬鹿だったと。もっと連れの話を聴いとくべきやったと。  …………連れ? 「おーい、お嬢? どこにいった?」 「動くな」  いや、テメェじゃねぇよ。つかそろそろ本格的にうるさい。さっきからスルーしていたがこの一休共本気で鬱陶しい。 一つの単語のリピートしか出来ないのか。 一休みたいな頭の癖に馬鹿なのかと言ってやりたい。一休って誰だっけ。  まあそんな個人的な気持ちの昂りはさて置くとしても、最低限のコミュニケーションを取らなくては、と思う。
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