prologue

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それは例え銃口を突き付けあう中でも、寧ろそうであるなら尚更に重要だ。それは俺に限った個人の考え、自覚無しに結果が伴う事にそこはかとない気持ちの悪さを感じるという、もはや我儘にも取れる考えに立脚されているのだが。 それとこれが今関係するかと他人には首を傾げられるだろうが、ヤツらが殺意の切っ先の目標を俺に定めている時点で俺の中でここに至るのは最早道理。結局は理由が欲しい、それだけの事である。 コイツらはそれを理解して意図的に避けている様受け取れるが、それは思案が過ぎるといった所だろうか。  何にせよ、意思疎通を。俺はこの場で最も容易であろう方法、お互いの言葉を交わす事を試みる。 「おおい、てめぇらいい加げ」  んにしろ、と続く筈の言葉は建物内で喧しく響く銃声に叩き掻き消される。 実際は脳天に走った衝撃に舌が動くのを止めたから言葉が途切れたのだが、そんな事実を知るのはきっともほとんど俺だけで、傍らから見ていた他の奴らには初めに綴った一文の様に、『銃声に掻き消された様に』見えたのだろうと思う。 そもそもそんな事は些末な問題か。
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