背徳の逢瀬

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「1周すんのに12分? そんなもんだったっけ?」 観覧車の看板を 見つめながら呟いた彼は 売店で2人分のチケットを買うと 私の手を引き観覧車に向かう。 「紗枝は高い所とか 狭い所は大丈夫?」 乗り口の手前で、 思い出したように 立ち止まり聞いて来た聖に 思わず笑ってしまった。 「それ…チケット買ってから 聞くこと?」 「…あ、そっか」 お互いがクスクスと笑い合う。 二人の間に心地良い夏の風が 通り抜けて行く。 「大丈夫だよ。 観覧車乗りたい」 「ん。じゃ乗ろうか」 柔らかく微笑んだ聖に 手を引かれ、小さな箱に 乗り込んだ。
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