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開け放たれた窓から
さわさわと柔らかい風が
小さな箱の中に吹き込んで
夏の日差しで焦がされた
私の腕をなぞって通り過ぎる。
「気持ちいいー」
「うん」
ゆっくりと上昇して行く
二人だけの空間からは
やがて伊勢崎の街並みが
眼下に広がって行く。
その景色を見つめる私を
じっと無言のまま見つめていた
聖に首を傾げた。
「何?」
「うん、その服、
すごく似合ってる」
不意打ちされた彼の言葉が
ズキンと胸を突き刺す。
この服は…。
思わず俯いてしまった私。
けれど聖は窓の外を
ぼんやりと眺めながら
さらに私の心を
大きく揺らす言葉を放つ。
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