背徳の逢瀬

12/23
前へ
/40ページ
次へ
開け放たれた窓から さわさわと柔らかい風が 小さな箱の中に吹き込んで 夏の日差しで焦がされた 私の腕をなぞって通り過ぎる。 「気持ちいいー」 「うん」 ゆっくりと上昇して行く 二人だけの空間からは やがて伊勢崎の街並みが 眼下に広がって行く。 その景色を見つめる私を じっと無言のまま見つめていた 聖に首を傾げた。 「何?」 「うん、その服、 すごく似合ってる」 不意打ちされた彼の言葉が ズキンと胸を突き刺す。 この服は…。 思わず俯いてしまった私。 けれど聖は窓の外を ぼんやりと眺めながら さらに私の心を 大きく揺らす言葉を放つ。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2515人が本棚に入れています
本棚に追加