背徳の逢瀬

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「俺が移植を受けないのは 最後のプライドを捨てたく なかったからだ。 医者でありながら 自分の身体の変化に 気付く事も出来なかった自分が どうしても許せない…。 こんな俺のために貴重な腎臓を 使うくらいなら他の患者さんに その腎臓を移植して欲しいと… ずっとそう思って来た。 でも今…正直迷ってるよ。 本当にこのまま人生を 終えていいものなのか… すごく迷ってる。 けれど… 移植を受けたとしたら 俺は医者に戻れない。 最後のプライドを 捨てるってそういう事だろ」 無表情でそう言い切った彼に 私の瞳から涙が溢れ出した。 そんなの…おかしいよ。 そんなプライドなんて…。
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