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「お前さ…一体何なの?」
「……………」
「なんでそうやって俺の心に
ズカズカ踏み込んで来んの?
…旦那を愛してるんじゃねーの?」
微かに口角を上げながら
そう呟いた聖に、私はもう
何も言えなくなった。
…もう…無理だ。
きっと私には彼の心を
開く事なんて…出来ない…。
静かに目を伏せた時、
すっと彼の手が伸びて来て
私の手を握りしめた。
「お前を奪っていい?」
「…えっ?」
慌てて開いた目に映ったのは
真正面まで近づいて
苦しそうに私を見つめている
聖の瞳だった。
「なんて…冗談」
そう言って小さく彼が笑うと、
二人を乗せたゴンドラが
始発点へと戻ってしまった。
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