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翌日。
私は孝之への背徳心をねじ伏せ
聖に会うために車を走らせた。
初めて彼と会った日に
待ち合わせしたコンビニの
駐車場に車を止めて彼を待つ。
サイドミラーに映った
自分の姿に虚しさを感じた。
今日着て来たこの服は、
先週末に孝之と一緒に
選んだ服だ。
この服を買ってくれた後、
孝之に言われた言葉は
私の心を串刺しにした。
『この服、その男と会う時に
着て行って』
たとえ聖に抱かれるとしても
私は聖のものではなく
孝之のものだという事を
忘れるなという意味なのだろう。
もちろんこれを着て、
聖と会う事に抵抗はある。
けれど…
自分の置かれた現実を
自分自身も忘れないように…
あえて今日はこの服を選んだ。
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